荒野の中に突如、ラーセンスプレートやハブキャツプで飾られた小屋が現れる。
「SWAPMEET」 と看板は出ているのだが、営業している様子など全くない。
この看板も趣味のようだ。
木で組まれたフェンスの前でクラクションを鳴らすと数十匹の犬の鳴き声と共にじいさんがとぼとぼとトレーラーハウスから出てくる。
 彼がトーマスじいさんだ。20年ほど前にカリフォルニア州エスコンディードより移住。
敷地に敷詰められたハブキャップやステアリング、ライセンスプレートなどなどは、彼が30年以上かけて集めたものである。
数十頭の犬も長年にわたって道端から集めてきたコレクションの一部である。
行く度に「犬も何匹かもっていくか?」と聞かれる。
 無口なじいさんはかなりお茶目で、コレクションにレンズを向けると、いつのまにかファインダーに姿を現し、ポーズをとっている。だからここの写真には全てじいさんが映っている。
もと海兵隊員で腕に刻まれた現役時代のタトゥーが時代を物語る。